京都府看護職応援プロジェクト・キャリアサポート つながりネット

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オンライン座談会実施レポート(ゲストトーク編)

2021年9月30日

9月8日(水)つながりネットでは初めてオンラインツール“Zoom”を使用して座談会を開催いたしました!
今回のテーマは“キャリア選びのヒントに~病院で働く~”でした。

コロナ禍となるまでは、会場に皆様にお集まりいただいてセミナーを開催していましたが、
昨年度より動画配信型に変更しており、久しぶりのリアルタイム・・!ということで、楽しみ半分、緊張半分で準備をしておりました。(>_<)
残念ながら当日にご参加いただけなかった方は、よろしければこのレポートをご覧くださいませ。(今回はゲストトーク編です)

*ゲストは、京都田辺中央病院 看護部長 植村ひかる様、医仁会武田総合病院 看護部長 山本美紀様、京都府ナースセンター 藤田治子様 でした。


→Zoomの画面はこんな感じです!

【司会】:本日はゲストトークとしまして、植村ひかる様、山本美紀様にお話しいただきます。最初は植村様よりよろしくお願いいたします。

【植村氏】:私自身も育児等で1年半のブランクを経験していまして、“どうしよう”と不安に感じたことは記憶に残っています。その当時はブランクのある方のための研修制度というものはなくて、中途採用者は見て覚えなさい、という雰囲気がありました。苦労もしましたが教えてもらいながらやってきました。
今日はブランクのある方々が、どのようなステップを踏んで医療現場で活躍されているのかについて、実例を基にお話ししたいと思います。ご参考になれば幸いです。

・新卒で入職後、バーンアウトされ3カ月で退職してしまった方の復職例(年齢層30代)
育児等が落ち着かれたということで復職を決意されました。臨床経験は3カ月ということだったので、新卒職員さんの集合研修に一緒にご参加いただきました。(復職された月が4月だったのも良いタイミングでした)配属先は急性期に不安があるとのことだったので、本人と相談をして障がい者病棟となりました。1日4時間程度の勤務からスタートされましたが、徐々に勤務時間を延ばすなど、仕事への意欲を高められています。

・10年ブランクのある方の復職例(年齢層40代)
病院勤務経験が4年程度、育児等で10年ブランクがある方です。最初はクリニックにご勤務されていたそうなのですが、夜診のない勤務時間帯で働きたいというご希望もあり、病院への復職を選択されました。日曜に休みの希望がありましたので、透析センターへ入っていただきました。ところが配属先が本人とマッチしなかったようでして、話し合いを行った上で、得意とする診療科への異動を提案いたしました。すると徐々に環境に慣れ、現在は胃カメラ室などの対応もできるような看護師に成長されています。

・ブランク4年、急性期での勤務経験のない方の復職例(年齢層40代)
本人の希望もあり、急性期は避けて回復期からスタートされました。3年程で常勤に転換されましたが、残業等もあるので子育てとの両立が厳しくなり、病棟から通所リハビリテーションに異動となりました。こちらは看護師の配置人数が1名ですが、病院に復職されて6年経過していたこともあり、お一人で対応ができるまでに成長されています。常勤に転換されるまでの間は、余暇を利用してNST(栄養サポートチーム)の研修会に参加されるなど自己学習にも努められたようです。
~~
もちろん、復職後、病院という環境になじまなかった例もありますが、出来る限り本人に合った部署に入っていただくなどの配慮をしています。
また、新卒看護師さんへの教育体制は手厚いですが、途中で入職された方にはサポートがなかったりするので、私どもの法人では“ひよこ”のカードを作って、既卒者や年度途中の入所者に着けていただいて、指導者側には“にわとり”のカードの着用をお願いしています。イメージとしてはひよこが育つまでの親鳥のイメージですね。温かく迎えようという取り組みです。看護師以外のコメディカルの方にも、一目でビギナーということが分かるので、不慣れな対応をしても優しく対応していただけているようです。
院内全体でニューフェイスをお迎えする取り組みは、今後もご意見をいただきながら行っていきたいと思っています。

【司会】:ありがとうございました。次は山本様にお話しいただきます。

【山本氏】:植村部長も仰っていましたが、復職には不安やストレスが伴うというのが実情だと思います。それから先程、“ひよこ”の話題が出ましたが、私共の病院でも名札のひもをピンクにしたり、初心者マークを名札につけたり、誰がみても初心者であることが分かるように工夫をしています。支援し合う雰囲気づくりが大切ですね。
本日、わたしの方からは一緒に働いていた同僚(復職者)のことと、採用する側としてどのようなポイントをみているか、についてお話ししたいと思います。

・一緒に働いていた同僚(復職者)のこと
わたしが外科病棟にいた時の同僚のことです。元々は子育てを中心に考えておられたのでブランクがありましたが、非常勤でばりばりとお仕事をされていました。復職しようと思われたのは「もう一度、チャレンジしてみたい」という気持ちがあったからだそうです。その後、病院の近くにも転居されたので、仕事の幅をどんどん広げていき、現在は管理職として働いておられます。ご自身がブランクを経験されたということもあって、中途採用される方への理解も深く「不安はみんな一緒だよ」と声をかけることのできる看護師になっています。

・どんなポイントで採用を進めていったのか
まず、病院勤務2年半で出産育児に伴い、一旦退職してしまった方の復職例です。
「子育てとの両立が難しい、病院経験が短い」ということに不安を持たれていました。職場では手の震えや声の震えに緊張が出てしまうような状態で、且つ、勤務後は育児をしなければならないという、大変しんどい生活サイクルになっていたと思います。採用側として、「同年代の仲間を作る、居場所の獲得をしてもらう」ということを、病棟内で話し合ってもらいました。その結果、まずは環境に慣れてもらうことから始めて、仕事を覚えてもらうのはその次でもいい、というような方向性でまとまりまして、良い雰囲気づくりが出来たようです。
それから、バーンアウトのような(体調がすぐれない)経験をされた方の例ですが、病院に戻りたいという気持ちはおありなので、得意分野を活かせることができ、安定した部署に配置する、という対応をしました。採用側からしても、過去に体験されたことの繰り返しにならないようにしてあげたい、という想いがあります。
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面接をする際は、社会で働けるかという基本的なところも確認しますが、本人の能力をどういうところで活かせるか、“やりたい”という気持ちや背景を聞いて、相談をしながら採用を進めています。ご自身の“やりたい”がどこにあるのかを具体的に面接者にぶつけることで、より適正な部署を提案できるのではと思います。
入職後、怖いなと思う先輩もいたりするかもしれませんが、感覚的に自分に合う人を見つける、話を共有できる仲間づくりも大切だと感じます。
それから、今年度の新卒看護師さんの多くが、コロナの影響で実習が充分にできていないままに臨床現場に入っていますが、体力が低下していて疲れやすい、という方が多いようです。これは復職活動を始めるにあたっても言えることで、“体力作り”も意識していただくことをお勧めしたいと思います。また、最近は看護のテクニックに関する色々な動画も提供されていますので、見てみる、少し知ってみるというのも安心材料に繋がるのではないかなと思います。

【司会】:ありがとうございました。

(ゲストトーク編・終了)