会長挨拶

京都私立病院協会会長に就任して

このたび、令和７年５月２８日に第１２代京都私立病院協会の会長に就任いたしました武田隆久です。

１２年の長きにわたり会長を務められ、多くの実績を残された前会長の清水鴻一郎先生には心より感謝と敬意を申し上げます。

２０１４年６月に成立した「医療介護総合確保推進法」によって「地域医療構想」が制度化され、本年２０２５年が達成の年度となりましたが、この間、清水前会長のもと、京都私立病院協会は積極的に地域医療構想への対応に取り組んで参りました。行政はじめ京都府医師会、京都府病院協会、その他医療・介護関連団体との連携を深めるとともに、会員施設への地域医療構想の周知や働き方改革への対応のための研修に取り組み京都私立病院協会の事業は大きく広がりました。

また、２０１９年末からのコロナ禍では、京都府新型コロナウイルス感染症対策専門家会議での提言や、会員病院での発熱外来、コロナ患者の入院受入れ、ワクチン接種やコロナ患者の宿泊療養への看護師派遣など積極的にコロナ対策に協力してきました。これらは、ひとえに清水前会長のリーダーシップの賜物であると思います。清水前会長には、引き続き名誉会長並びに協会監事として、大所高所より見守っていただけることとなり、心強い限りです。

しかしながら、医療・介護を取り巻く環境は昨年来、非常に厳しい状況に追い込まれており、特に民間病院の経営は危機的状況にあります。昨年４月の医療・介護・障害者福祉のトリプル改定と医師の働き方改革のスタートが重なった大変重要な変革の年でしたが、診療報酬は今まで以上に複雑でがんじがらめの診療報酬体系となり、病院にとっては対応の余地がない状況での実質マイナス改定となりました。さらに、物価高騰と働き手不足、賃金上昇圧力、金利上昇などが追い打ちをかけ、公定価格である診療報酬の枠の中では民間病院の経営は限界に来ています。

日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本慢性期医療協会の病院5団体で「緊急的な財政支援措置」などを求める要望書を厚生労働大臣に提出し、日本医師会と四病院団体協議会・日本慢性期医療協会・全国自治体病院協議会の６病院団が２０２６年度診療報酬改定に向けて、社会保障予算の目安対応の撤廃、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな診療報酬等の仕組みの導入を求める合同声明を公表する状況まで追い込まれています。

一方で、「新たな地域医療構想」では今までの地域医療構想で検討された入院医療だけでなく、外来、在宅、かかりつけ医機能、さらに医療・介護連携も考慮してその地域にふさわしい医療・介護提供体制改革を目指すことになります。

このためにも、現在行われている社会保障費の抑制一辺倒でなく、医療関係者のみならず、政治・行政・政財界などすべての英知を集結して持続可能で地域事情に応じた新しい仕組みを作り上げていく必要があります。

京都私立病院協会といたしましては、中央の各病院団体とも連携して政治・行政への要望、提言を行うとともに、医療の質の向上、施設の経営改善に向けての研修や会員間の交流・親睦など、良質で安心・安全な病院医療に資するための取組を積極的に行い、府民の方々の生命と健康を守る使命を十分に果たせるように努めてまいる所存ですので、今後とも皆様のご協力・ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7年5月28日
一般社団法人京都私立病院協会
会長 武田 隆久