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新型コロナのわかりやすい解説

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、不確かな情報が数多く出回っているため、適切な情報収集が難しい状況です。
そこで、医療従事者として知っておくべき必要最⼩限且つ現時点において明確となっている情報を分かりやすく簡潔にまとめました。

感染経路は?

  • 接触感染(Contact and Formite transmission)

    • ・唾液や気道分泌物が直接、口、鼻、目に触れて感染します。
    • ・感染力のあるウイルスに汚染されたもの(手すり、ドアノブ、スイッチ、便座、つり革など)を触ることで、間接的に口、鼻、目に触れて感染すると報告されています。
  • 飛沫感染(Droplet transmission)

    • ・咳やくしゃみなどの飛沫(5~10マイクロメートル)に含まれるウイルスを口や鼻から吸い込んだり、目に入ったりすることで感染します。飛距離は約1~2メートルとされています。

    ※マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1の長さ

  • エアロゾル感染

    • ・非常に小さな滴(5マイクロメートル以下)のことを「エアロゾル」や「飛沫核」と呼び、換気が悪い室内では、空気中に長時間存在する可能性があります。
    • ・エアロゾルは、気管挿管などの特殊な医療行為・処置に伴って起こります。
    • ・人が密集したり、換気の悪い屋内などでも生じる可能性があり注意が必要です。
    • ・しかしながら、エアロゾル感染についてはまだ分かっていないことが多く、今後の研究が待たれます。換気をよくする、physical distancing(人と人との距離を十分にとる)を徹底できないのであれば、マスクをつけるなどのこれまでの感染防止策を継続することが重要です。

感染経路

期間

  • ・潜伏期間は14日(発症までは平均4から5日)とされています。
  • ・感染可能期間は発症2日前から発症7日から14日間程度ですが、時間が経つにつれて感染力は弱まります。
  • ・発症から診断、報告に至る過程で時間差もあるので、今日の感染者は数週間前の感染を反映していることになります。
  • ・退院基準は、症状の有無、退院の際にPCR検査を行う場合と行わない場合で異なります。詳細は下記PDFを参照ください。
  • ・PCR検査を行うと早めの対応も可能となりますが、詳しくは厚生労働省の基準を参考にしてください。

新型コロナウイルス感染症の経過

  • ・感染から発症までは1週間程度(平均4-5日)とされています
  • ・感染者の80%は軽症ですが、20%は1週間程度で肺炎が増悪し、入院が必要となることがあります。

感染症の経過

どんな人がハイリスク?

  • ・一般的な風邪と同じで、健常者に比べて免疫機能が低下している人の重症化リスクが高いとされています。
  • ・持病のある方の新型コロナによる死亡率について下記の報告があります。
    • ⼼⾎管疾患:10.5%
    • 糖尿病:7.3%
    • 慢性肺疾患:6.3%
    • ⾼⾎圧:6.0%

年齢別にみた新型コロナウイルス感染症の致死率

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年4月17日掲載分)

どんな患者がPCRや抗原検査の対象になるか

  • ・病歴・検察・検査から疑わしい人
    (濃厚接触者/発熱、倦怠感、上気道症状などなど/頻呼吸、低酸素/レントゲン、特にCTで肺炎像)
  • ・既往歴から重症化のリスク高い人
    (高齢者、基礎疾患がある人)
  • ・職業歴などから感染の診察をつけた方がいいと考えられる人
    (見逃すと大量の人を感染させるクラスターを形成するリスクがある人たち)
  • ・医療関係者など重症化の高い集団との接触がある人

※海外に行く場合は、渡航先の国から検査の「陰性証明」を求められる場合がありますので、その場合は医師に相談してください。一定の確率で感染者でも陰性になることがありますので、「陰性証明」自体で「感染していないこと」を証明できるわけではありません。

新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書(出典:諏訪中央病院)
http://www.suwachuo.jp/info/2020/04/post-117.php

治療法

  • ・候補となる薬はいくつかありますが、現時点で「特効薬」と言える治療薬はありません。
  • ・8割以上が自然軽快するため、基本的には対症療法としてよい。
  • ・レムデシビルは、2020年5月7日に日本で承認された唯一の薬ですが、現状ではまだその適応について確たるエビデンスはありません。
  • ・重症化した場合は集中治療管理が必要となります。

検査について(医療者向け情報)

  • ・各種検査の適応について(あくまで目安となります)
    • 症状がない場合

      ・鼻咽頭PCR か鼻咽頭抗原定量のみ。
    • 症状がある場合(症状が消退したものも含む)

      ・下記一覧表をご確認下さい。

※1:発症2日目から9日目以内
※2:使用は可能だが、陰性の場合鼻咽頭PCRで確認が必要

  • ・検査結果は患者の感染リスク、地域の流行状況を考慮して解釈する必要があります。
  • ・診断に用いる検査には、日本ではlamp法を含めたPCR検査、抗原検査(定量検査と簡易キット)があります。
  • ・定量抗原検査は、行政的にはPCR検査と同様に使用が可能と解釈されています。
  • ・抗体検査は、診断のためには現段階では推奨されません。
  • ・研究が急速に進んでいる分野で、今後変更の可能性は高いため注意が必要です。

予防法

  • ・最も大切なのは、一人一人の感染予防です。
    • ✓3密(密閉・密集・密接)の回避
    • ✓手指衛生、咳エチケットの徹底
  • ・ワクチンはまだありません。

血液検査所見(医療者向け情報)

*検査値は中央値のみを示した(プロカルシトニンは四分位範囲を併記)。
(Zhou F, et al. Clinical course and risk factor for mortality adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, Cnina: retrospective cohort study. Lancet 2020)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2.1版より抜粋

  • ・以下が重症化マーカーとして有用な可能性があります。
    • 1.Dダイマーの上昇
    • 2.CRPの上昇
    • 3.LDH の上昇
    • 4.フェリチンの上昇
    • 5.リンパ球の低下
    • 6.クレアチニンの上昇
    • 7.トロポニンの上昇
  • ・全体的な臨床像を重視して臨床判断の一部として活用する必要があります。

画像所見

  • ・胸部CT検査は感度が高く、無症状であっても異常所見を認めることがあリます。
  • ・武漢市における患者(81例)の胸部CT所見のまとめでは、79%に両側の陰影を認め、54%は肺野抹消に分布したすべての肺野に異常を認めますが、右下葉に多い傾向を認めました。
  • ・発症から1~3週間の経過ですりガラス陰影から浸潤影への変化を認めます。
  • ・第14病日頃にピークとなることが多いとされます。
  • ・CT画像所見と肺酸素化能はしばしば乖離します。
  • ・日本医学放射線学会から報告がなされています。(コロナウイルス感染症に関する画像情報)
  • ▲第6病日
  • ▲第12病日
  • a:発症3日目
  • b:発症7日目
  • c:発症11日目
  • d:発症20日目

⽂献:Feng Pan et al. Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019 Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia. Radiology. Feb 13. 2020

https://doi.org/10.1148/radiol.2020200370

監修

神代和明

京都大学大学院医療疫学分野 研究員
米国内科・感染症・予防医学専門医
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策本部 クラスター対策班(※)

山本健人

京都大学大学院医学研究科 消化器外科専門医・感染症専門医

石黒義孝

京都大学大学院医学研究科 外科専門医

※本監修はクラスター対策班としてではなく、神代和明医師個人の立場で監修