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2018年1月1日

【年頭のご挨拶】京都私立病院協会　会長　清水鴻一郎

　新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては気持ちを新たに新年をお迎えになられたことと存じます。
　さて、昨年を振り返りますと、我が国では森友、加計と続いた学校建設に絡む疑惑、閣僚や与党議員の失言・暴言が相次ぎ、一強支配が揺らいだかと思うと、今度は野党議員の不倫疑惑が報じられ、衆院選では野党第一党が分裂するドタバタ劇となり、政治不信がますます深刻化しました。政治に対する信頼の回復は並大抵のことではありません。

　一方、医療を取り巻く大きな出来事としては、2025年に向けて病床の機能分化・連携を進めるために地域医療構想が各都道府県で策定され、いよいよ構想の実現に向けて具体的に進めていく段階となりました。今後、構想区域の中のどの病院の病棟がどの医療機能を担うのか（あるいは他の機能に移るのか、あるいは削減するのか）、極めて難しい課題に対峙していくことになります。構想を誤れば、そのために削減した病床や転換した病床機能は今の政治と同様、元に戻すのは大変な困難を伴い、地域医療の崩壊に繋がりかねません。当協会では現在の充実した医療提供体制に支障をきたすことのないよう京都府と意見を積み重ね、京都府も十分にご理解を頂き、昨年３月に「京都府地域包括ケア構想」が策定されました。地域包括ケアの一環として地域医療構想の実現を目指し、機能別の必要病床数は幅を持たせた数となり、2025年も全ての圏域において現状の病床数を維持するという京都府独自の構想となりました。本年４月からの新しい保健医療計画と介護保険事業（支援）計画など関連する計画と併せ、今後も見直しを行うこととなっており、当協会独自の取り組み、京都府・京都市・関係機関との連携により、医療の確保に必要な課題への対応に尽力してまいります。

　今後、少子高齢化が急速に進み、生産年齢人口が減少していく中で、医療従事者の確保・定着も大きな課題です。当協会では全国に先駆けて休職中の看護職や薬剤師の復職をサポートする取組（看護職つながりネット・薬剤師サポートネット）を行っており、復職の実績を着実に上げています。看護補助者は、府内各地域で府市民向けの説明会や現場見学を実施し、就職に繋げています。医療従事者にとって魅力ある働きやすい労働環境を整えることも重要であり、当協会が京都府より受託運営する京都府医療勤務環境改善支援センターでは、昨年１月から「京都いきいき働く医療機関認定制度」を全国初の取組として開始し、認定取得に向けた取組が労働環境の改善に繋がる仕組みを推進しています。開始後約１年で、６８病院が取組の宣言を行い、１０病院が基本認定を受けました。是非とも府内全ての病院にご理解をいただき、人材が集まる病院の実現に向けて認定取得への取組をお願いいたします。加えて、本年も医療従事者の方々のキャリア形成やモチベーション向上、病院全体の医療の質の向上に繋がる職能別・テーマ別の各種研修を鋭意行ってまいりますので、大いにご活用いただければと存じます。

　疾病対策・予防については、当協会では、がん、脳卒中等５疾病への取組はもとより、今後ますます増加する認知症に対し病院の多職種による対応力向上を図る病院認知症対応力向上事業や、医療資源の少ない地域にお住まいの方々に認知症やロコモティブシンドローム対策を啓発する府民リハビリテーション啓発支援事業等も継続して実施してまいります。

　在宅医療分野では、病院の地域連携部門や多職種による在宅復帰への取組の強化を目的とした病院在宅医療・介護体制強化事業を実施しています。在宅療養中の高齢者が体調不良時に必要に応じて入院できる在宅療養あんしん病院登録システムは、あんしん病院の殆どが当協会の会員病院であり、今後ますます増加する在宅高齢者の支援体制の充実に努めてまいります。

　本年は、早々に４月からの診療報酬・介護報酬同時改定という大変厳しい改定への対応と、地域医療構想では地域の医療ニーズ、自院の医療資源・医療人材等を踏まえ今後の病床機能の方向を具体化していく必要に迫られます。近年類を見ない程のピンチではありますが、ピンチに遭遇してはじめて新しい道が開かれることもあります。ピンチはチャンス、改革は進歩と捉え、前向きに各々の課題解決に努めてまいりますので、本年も会員施設、関係各位の変わらぬご指導・ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。本年の皆様のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げます。

　　　　　　　　2018年１月１日